皆さんこんにちは!
元国税専門官で開発調査と資料情報をそれぞれ1年間ずつ担当していた貝殻です。
国税組織では税務調査にあたって、納税者から提出された確定申告書の情報のみをもって税務調査に行くわけではありません。
常日頃から様々な情報を蓄積しています。
今回の記事ではその蓄積されている情報の一部を紹介したいと思います。
国税の組織の興味ある人は是非参考にしてください。
はじめまして!筆者は
・国税専門官として8年間税務署勤務。
・新卒で地方の国税局採用でした。
法定資料とは?
法定資料とは読んで字のごとく「法律で定められた提出が義務付けられた資料」のことです。
具体的に言うと「給与所得の源泉徴収票」とか「支払調書」があたります。
記事を見ている方で給与収入500万円超えている人いますか?あなたがどこの会社から~円の給与収入を得ているという情報は国税で保有しています。
これは給与が支払われた年の翌年1月31日までに税務署への提出が義務付けられているからです。
この義務を怠った場合税務署から「法定監査」の連絡が来る場合があるので、提出は忘れないようにしましょう。
【国税】税務署から法定監査の連絡が来た!税務調査とは違うの? – 貝殻@公務員から海外留学 (kaigara.net)
支払調書の種類は多岐にわたります。
一例を挙げると、会社が事務所の家賃を個人に支払った場合、その個人に年間~円払いましたという内容を「不動産の使用料等の支払調書」に記載して税務署に提出の必要があります。
最近では暗号資産も支払調書の提出の対象になりました。
[手続名]先物取引に関する支払調書(同合計表)|国税庁 (nta.go.jp)
こういったものを合わせて「法定資料」と呼んでいます。
法定外資料とは?
一方、法定外資料とは「法律で定められていない資料」のことです。
具体的に「探聞情報」というのがあります。「たんぶんじょうほう」と読みます。
「探聞情報」は税務職員が見聞きした情報を蓄積した情報です。
・□□社が経営するカフェで昼食を取ったが、平均客単価~円、利用時の客数は~人、従業員数は~人 好況の様子であった。 ・◇◇社にエアコンの設置を依頼して作業終了後現金で~円支払った。領収証の写しを別添する。 ・~というインターネットのサイトで××というIDから~円のグッズを購入した。
みたいな情報が格納されています。
若手はよく統括官から「探聞情報とって来いよ!」と発破をかけられることも多いので昼食先でスーツ着ながらきょろきょろしています。
また税務調査の際に、税務調査と同時並行で調査先の会社がどこの会社と取引をしているか情報を収集します。
・〇〇社は××という会社にデザインの仕事を~円で発注している。決済方法は~ ・△△社は◇◇というお店を接待でよく利用している。領収証の様式は~
税務調査には協力する必要がありますが、こういった資料情報の提供は義務ではないので国税に資料情報の提供をしたくなければしなくても問題はありません。
一般取引資料せん
国税では管轄の事業者に「一般取引資料せん」の提出を要請する場合があります。
これは事業者に任意で「あなたの会社が~の会社にいくらの取引をしているか情報提供してください」というものになります。情報提供の依頼なので提供しないことで罰則は設けられておりません。
裏話
国税ではこういった蓄積した情報を税務調査で使っているわけですが、度々トラブルになります。
法定調書はともかく法定外で集められた情報をうっかり調査先で話して、情報提供先の会社に迷惑をかけるというケースです。
情報収集する部署と、それを使う部署が違うので意識の祖語が生まれるのが原因です。
活用する部署は「なんかKSK(国税総合管理システム)に情報入ってる・・・。活用したれ!」って感じで活用します。
まとめ
いかがでしたか?
以上が国税で集めている情報です。
筆者は国税時代、メインの税務調査から外されて2年間こういった情報収集に特化しておりました。率直に言うと非常につまらないかつ閉鎖的な部署でした。次回は開発調査部門の記事を作成したいと思います。
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