皆さんこんにちは。
今回の記事は「国税専門官がなぜ公務員試験で不人気なのか」を解説します。当然の話なのですが、国税局の人事の説明会や、税務署訪問では国税組織の良いところしか話しません。もちろんそれは決して嘘ではないと思います。
今回、筆者からは人事や広報が教えてくれない、国税で働く上で事前に知っておきたい情報をお教えしたいと思います。
それではいってみましょう。
国税の職場に入る前知っておきたい、「不人気理由」を解説します。
初めまして!筆者は
・8年間国税専門官として税務署勤務。
・新卒で地方の国税局採用でした。
・国税辞職後は外資系の会社で働いています。
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国税組織で働くメリット
- 公務員として安定した(若いうちは安い)給与
- 他の公務員に比べて税務に携わり続ける
- 給料をもらいながら研修を受けることができる
- 税務職俸給故にちょっと給料が高い。
詳細はこちらの記事に書いたので国税で働くメリットについてはこちらを参考にしてください。人事や広報が言っていることも網羅していますし、それらのメリットを享受した筆者の正直な感想も記載しています。
不人気理由について
税務調査・滞納処分
一番の理由はまずこれでしょう。国税の仕事は税務調査か滞納処分がメインです。税務調査のいいところとしてよく述べられているのが
・会社の経営者や富裕層と対等な立場で話ができる。
まずこれは事実だと思います。実際私のような下っ端の調査官でもwikipediaに記事があるような著名な人に税務調査に行ったことがあります。
ただ税務調査を受けてくれて、調査に協力的な態度をとってくださったような納税者の方に修正申告の説明をするのがなかなかつらいです。
「最終的に今回の調査で追加で納付していただく所得税は3年間トータルで〇〇円です。これに加算税××円と納付いただく時期に応じて延滞税が加算されます。」
これ言うほうも結構キツいんですよね・・・・。
逆に初っ端から
「何しにきやがったんだこの野郎!」
と言われたほうが最後の修正申告の内容説明はやりやすいです。税務調査という仕事上こういった経験もたまにはあります。
また、最初のころはそんなにハードの事案は新人故にあてがわれません。しかしながら何年かすると「無予告調査」なんかの事案にも取り組むように指示されます。無予告調査なんて飛び込み営業みたいなもんです。最初の数年で「あ、国税の仕事って意外になんとかなるかも♪」と思ってもそのうちそういった事案にも取り組まざるを得ません。筆者も1度自身の事案で取り組みました。
しかも「無予告調査の検討会」なんかもあるんですよね・・・。結果を出したか、出せないとしたらなにが原因だったかを発表します。
税務調査なんかはまだマシですが、滞納処分に至っては基本的にお金がない人に税金納付してください、という仕事ですからもっとハードです。幸い(?)徴収部門は同期の中でも1割程度しか割り当てられません。徴収部門を題材にした「トッカン」というドラマ、書籍もありますので興味がある方は是非どうぞ。
改めて国税の仕事は人から感謝されない仕事だということです。
確定申告
確定申告会場従事もなかなかハードです。9時から17時まで休憩を挟むとはいえ立ちっぱなしです。あと理不尽な理由で納税者の皆様から言いがかりをつけられたりもします。
確定申告事務についてはあまり説明会では触れられません。知られたくないのかもしれませんね。
100歩譲って理不尽な言いがかりは耐えられたとします。そういったストレスも税務職員の給料に含まれているかと思えばまぁ仕方ない。私が我慢ならないのは一部の職員が適当な理由をつけて会場にいかないことなんです。
詳細はこちらの記事に書いたので割愛しますが、面倒な仕事は高齢のMJが若手に押し付ける環境だということは認識しておきましょう。
また、確定申告会場の雰囲気を見たい方は実際に会場に訪れる、あるいはそこでアルバイトとして働いてみるのもいいと思います。その仕事を定年までやり続けることになります。
高卒社会
人事や広報は教えてくれないでしょうが国税は高卒の職員のほうが多いです。
高卒だろうが大卒だろうが、仕事をする上では関係ないだろう。気にしすぎなのでは?
と思う人もいるでしょう。筆者も実は入る前はこういう考えでした。同じ仕事をするんだから学歴なんて関係ない、結果を出せばいいのだと。
大卒である専科はこういう考えなんでしょうが、高卒の普通科は違います。
彼らは基本的に不平不満を抱えています。大学で遊んできた専科に比べて高卒である我々普通科は同世代と比べて4年も早く職場に入ったんだ。にもかかわらず普通科のほうが給料が低い、故に大卒には負けたくない。
こんな思考です。
事実、大卒に敵意むき出しの職員とかも何人か目にしました。この記事の1位の人とかね。
また、管理職も普通科のほうが多いです。私が8年間国税にいて専科の統括官に当たったのはわずか2年間だけです。残り6年間は普通科の統括官です。普通科が統括官になるとどうなるかというと、普通科に目をかけることが多いです。つまり普通科のほうが評価されます。国税界の”普のスパイラル”でしょうか。(うまい?)
大学出てるなら大卒が多い職場で仕事をしたほうがこういうよくわからない争いに巻き込まれずに済みます。
あとこうやって「大卒なのにそんなことも知らんのか」みたいな上から目線の指導がパワハラに繋がります。
転勤
国税専門官に転勤は必須です。
転勤の頻度や範囲についてはこちらを参照してください。当然ですが、転勤なんてないほうがいいですし、あったとしても範囲が限られているほうがいいです。
この転勤についてもハッキリいって不公平です。国税では育児休暇や介護を積極的に進めてるなんてことをウリにしていますがよく考えてほしいのが、誰かが恩恵を享受すると別の誰かが負担を強いられるという事実です。みんな平等に希望通りに僻地や都会に配置される・・・なんてことはまずありえません。「ウチは子育てや介護があるから^^」、「私は体の具合が悪いんです」というと割と地域の希望どおりにはいきますが、特にそういった理由がない人はガンガン僻地に飛ばされます。理由を作れない人は不利なんです。そんなもので悩むよりかは最初から転勤のない、あっても機会が限られた職場に入ったほうがいいのではないでしょうか。
体育会系
体育会系というか署全体の雰囲気が「昭和」です。県庁職員の方と名刺交換をさせていただいた機会がありますが、外部から受信できるメールアドレスなんかを記載しています。国税にはそういうのはないです。
Outlook自体はありますけど総務からのお知らせとか局からの指示文書くらいしか来ません。
あとはやたら飲み会を賛美する風習とかを変えたらいいのになぁと思いますが、上に行く人は今も飲み会大好きパリピ組みたいなのが多いから当面変わらないでしょうね。
飲み会翌日にゾロゾロ歩いて先輩に「〇〇さん!昨日はお疲れ様でした!」
ってやるのキツかったですね。職場に前日の飲み会の雰囲気を持ち込む必要ないし、挨拶したいならメールでええやんけ・・・。
こういう時代遅れの風習を「軍隊みたいでかっこいい!」と思える価値観の人は国税に向いているかも知れません。
行政職?
「国税専門官は税金のGメン。犯罪を取り締まる警察官のようなもので、社会になくてはならない仕事です」と語るのは、中央大商学部の酒井克彦教授。国税専門官の研修機関である税務大学校でも講師を務めているため、志望者に求められる素養を熟知している。
国税専門官採用数No.1中央大学 「生きた税法」と現場のリアルを体感する学びとは|大学なんでもランキング|朝日新聞EduA (asahi.com)
記事からの引用にはなりますが、もう答えが書いてありますね。国税は行政職ではありません。どちらかと言えば公安職よりです。高ストレスな職場ってことです。
まとめ 国税が不人気な理由
以上が国税専門官という仕事が不人気な理由です。国税専門官を目指す方は応援してます。しかしながら情報収集をせず、いざ職場に入って「こんなはずじゃなかった・・・」となるよりかは多少不利益な情報にも目を向けて、よく考えて職場を選んだほうがいいと思います。仕事に対しての理想と現実のギャップがあると結果的にモチベーションダウンにつながります。
今回もお読みいただきありがとうございました。
私はこの国税から脱出して現在外資系企業で働いています。
公務員からの脱出プランはこちらの記事とnoteを参考にしてください。
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